身近な皮膚病Q&A vol.9(第9号 2003年)

第9回は「柔道選手に流行しているたむし」です。

現在、高校や中学の柔道選手の間でたむしがはやっているとききますが?

本当です。Trichophyton tonsurans(トリコフィトン・トンシュランス)という新しい水虫菌が外国から持ち込まれ、2001年頃から仙台、山形など全国の柔道やレスリングの強豪校を中心に集団発生がみられています。

 

うつりやすい水虫菌なのですか?

感染力が強く、試合や練習中、直接肌が触れあうことによって感染します。また、一度感染すると治りにくく、保菌者になりやすいので注意が必要です。

 

どのような症状が出るのでしょうか?

「ぜにたむし(体部白癬)」と「しらくも(頭部白癬)」の2種類あります。

1.体部白癬……柔道着ですれる顔、首などに直径1~2cmのかさかさしたピンク色の斑を一個から数個認めます。

2.頭部白癬……頭皮にかさかさや折れ毛、脱毛を生じます。

 

治療はどうするのですか?

体部白癬の場合は、抗真菌剤の塗り薬を1か月ほど毎日塗布します。
頭部白癬の場合は、抗真菌剤の飲み薬を1か月半ほど毎日内服します。

 

予防するにはどうしたらよいのですか?

柔道着やユニホームをよく洗濯すること、練習直後のシャワーや入浴で頭と体をよく洗うことです。また、ボディチェックを丹念に行い、症状のある者は練習を休ませ、早く治療を受けていただくことが重要です。

 

流行がおこったら?

この菌による白癬かどうか水虫に詳しい皮膚科医に菌の検査をしてもらうこと(岩手県でこの菌による白癬を診断治療した経験があるのは、当院院長のみ)。部員を一斉に感染しているか調査し、治療を行うことが必要です。

 

もし、知りたい情報があったら?

当院では、患者様方に身近な皮膚病の情報をおとどけします。
お知りになりたい皮膚病がありましたら、職員にお声をかけていただければ幸いです。

Copyright (C) Sato Derma Clonic. All Rights Reserved